自然界の食物は、四季それぞれに応じた特徴を持っています。春の食物は、春の陽気を吸収して、風にあたって成長しますので、基本的に重要な食べ物になってきます。夏の食物は、夏に即した機能が含まれています。秋冬になりますと涼しくなって、陽気が減少している時期に成長するしますので、春夏とは違った要素と働きを含んでいます。
高い木の上にできる果物は、地表より高くにありますので、地上より寒い環境になります。ですから、リンゴやミカンなどの果物は冷飲食となります。柿も身体を冷やす食べ物になります。
その反対である陽性の食物は、高いところから下に向かって、または地中に入っていく食物になります。地下に沈んだ地の気は、太陽の陽気を得て熱を持ち、暖気となります。この気が根菜類などの数多くの食物を育てます。これらの陰性食物と陽性食物の中間に、米などがあり、中性として作用します。この中性類は、身体にとって重要な位置にあることはご承知の通りです。なお、地を這うように育つ食物は陰性となります。また、以前にも説明しましたが、育つ場所が温暖地か寒冷地かによっても陰性と陽性に大別する事ができます。これは東洋医学の宇宙の陰陽原則に従って成立しており、生命活動に必要なエネルギーとして、機能を発揮しているのです。
暑い国や地域で育った食物は、大体柔らかく、臭いがきつく、水分も多く、育ちが早く大きくなります。身体の体温上昇を防ぐ作用があるのです。「秋ナスは嫁に食わすな」とは、夏にできる陰性の性質を多く持ったナスを涼しくなる秋の時期に食べると、妊娠でもしていた時に、養生にとても悪いという教訓なのです。病気見舞いに最近ではメロンが多くなりました。実はこれも陰性食物の代表的なものなので、病人にはあまり良くないのです。果物が陰性と陽性に、そして糖分の成分と酸味など別の分類も現在ではされています。
陽性の食物は、陰性の食物の逆を考えていただけると大体わかっていただけると思います。秋冬の大根などは陽性になってきますが、葉は上に伸びていますので、陰性になるのです。この葉には、カリウムの栄養素が多く含まれていますので、鶏などは好んで食べます。冬のゴボウ、人参などの煮物に豆腐の鍋料理などは、寒い季節に陽気を増やす大切な食物になります。寒い冬などに温かい部屋で冷たい刺身を食べ、冷たいビールやアイスクリームなどを食べるのは、あまりよくないことがわかっていただけると思います。寒いときは、温暖食、暑いときは冷飲食が原則になるのです。
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