五臓の働き 肝 U

五臓の働き 肝 U


 多くの人々が訴える筋肉痛や肩凝りは、寝不足や長時間の会議などのストレス、たまに行う肉体労働などからくる血の変化が、肝に影響を与えることで、身体への信号として発してきたものです。また、肝の働きに疲れが生じてくると酸っぱい食物が急に欲しくなったり、嫌いになったりすることがあります。このように食物の好みからも各内蔵の調子が判明するのです。そして血の不足からイライラや気むずかしくなり、不眠、頭痛、のぼせなどの精神不安症が現れ、特に短気の性格が著しく出てきます。

 これらのように代表的な項目を細かく診ていくと、肝の働きが正常なときには、訴えない症状が多く確認されることにより、私たち治療家は単なる肩凝りや腰痛でもこの病因となっている臓器を判別することで、各身体に存在するそれぞれの内臓に関係する経絡やツボを刺激することにより、症状から解放させるように導いています。

 これからもこの説明が何回も出てくると思いますので、よく覚えておいて下さい。例えば五志の「怒」は、肝の症状として大きく作用します。それには、嫁姑の関係、上司と部下、親類のもめ事など多くの要因があります。日常生活で気に入らないことが生じますと夜にも考えが及んで、自分を正当化してなかなか寝つかれないときなどは、脳神経の働きは昼間と同じ状態になりますので、血の消費が増えていき、その中に貯えてある血が減ってくるといままで述べてきた症状が発現してくるのです。

 春には生物が成長するに必要な陽気(エネルギー)を冬の間にじっと貯えており、春の暖かさに応じて、少しずつ陽気を使いそれぞれに成長していきます。これは私たち人間も同じで、冬の間は激しく活動しないで、元気を残しておくものと古代人は自然界に照らして、詳しく述べています。冬の間に激しい活動を行うと春先の木の芽時に、のぼせや気うつ症、精神不安症などの症状を訴える方が多くなることが分かっていただけると思います。

 現代社会では、昼夜も夏冬も関係なく動いています。その生活の中でもやはり人間でありながら、自然界の生物のひとつであることを知ることは養生法の基本となってきます。肝の働きが正しく機能していることは、身体に必要な血液の貯えが充分であり、いざ必要の時に補充してくる余裕があることなのです。血を造ってくれるのは胃腸、全身に運ぶのは心ですが、この血が汚れたり、不足したり、または水分不足でドロドロ状になっていると肝に熱が生じてきます。すると表裏関係にある胆にも影響を及ぼし、片頭痛や脇の痛み症状を訴えることがあります。


鈴木治療院
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