いままで、陰陽、五行論を解説するにあたり、自然を軸に展開してきました。季節の移り変わりを観察し、生命体や物の生まれてくる流れを相生という内容で、説明してきましたので、これをまとめていきたいと思います。
「肝」は、春によく働きます。精神的にも肉体的にも伸び伸びと活動するのがよい。もし春になって、肝の働きが悪いと冷えのぼせや頭痛、イライラ、頸部の凝り、各筋肉の痛みなどを訴えます。
「心」は、夏によく働きます。発汗して適当に運動することがよいです。もし夏になって心の働きが悪いと胸や脇の病気になります。これは、夏でもあまり汗の出ない人、夏でも冷える人、低血圧の人などは、夏になると体調を崩しやすいのです。また、心臓を持病にしている人も夏は気をつけて下さい。
「脾(胃)」は、土用によく働きます。前に説明しましたが、各季節の節目に4回あります。立夏の前が春の土用、立秋の前が夏の土用、立冬の前が秋の土用、立春の前が春の土用で、18日間が土用になります。この土用は、胃がよく働いて、身体に必要な陽気(エネルギー)の生産をしてくれます。そして五臓を補うのです。この土用に、胃の働きが悪いと五臓が弱り、その季節に順応する臓は、特に弱ってきます。皆様の中で、胃腸症状が調子悪いとき、私たち治療家は胃の流れる経絡を治療して整えていきます。
「肺」は、秋によく働きます。大気の自然から原気を吸収し、冬に備える時期です。秋にエネルギーを発散しすぎると皮膚の陽気が少なくなり、肩が凝りやすく、肩背部も凝ってきます。これは、肺に負担がかかるからです。一般に発熱、悪寒(さむけ)を治すには、早く陽気を造り、温かい食事、水分を補給して下さい。
「腎」は、冬によく働きます。心身共に静かにして、決して汗など出して陽気を発散させてはいけません。冬に活動して、陽気を使いすぎると春になって、鼻血、のぼせ、頭痛が出てきます。冬に腎が働いてくれないと身体全体が冷えます。冷え症の人や足の弱い人、腰痛の人、冬に血圧の高い人は、腎の働く経絡を治療し、刺激を与えて腎機能を活発にして下さい。腎は静かな臓器であまり一般の方にはなじみが少ないかも知れません。東洋医学においては、親からもらった生命力をいかに長持ちさせるかは、腎の耐久性と胃腸で造られるエネルギーの調和によってです。作物が育つには、最適の畑土があるように、腎もも肥土のように、あまり気が付かないですが、とても重要な役割を果たしているのです。
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