前の章で述べた内容は、現在の私たちの生活にもつながるものばかりです。
「@飲食に過不足なく食べる」は、今更説明をする必要はないほどに、常識的に認識されているところです。食べることで、身体のエネルギーを生産していますから、食欲がなくなるのは困るのです。好きなものを食べて、早く正常に戻ることが大切です。この食べ物については、東洋医学独特の考え方である五味(酸い・甘い・苦い・辛い・塩辛い)の取り方をや効能を後で詳しく述べさせていただきます。五臓(肝・心・脾・肺・腎)に対して、どのような働きがあるのか、どれを食べたら良いのか楽しみにして下さい。
「A心身共に過労を防ぐ」これはよく知っている!と言われそうですが、3500年前も特に重要視していたのです。現代では、ストレス症、心身症が、増加していますが、東洋医学にもこの病理・病症があるわけです。例えば、仕事上、家庭内、友人関係などで怒りが発症してくるとイライラが続き、いつもその問題を考えていますから、のぼせ・頭痛・不眠といった症状になります。よって、高血圧症の方は、なるべく怒らないようにすることが大切です。また、恋愛などで相手を想い悩むことが続くと胃腸の消化が悪くなります。このような五志(怒り・悲しみ・憂い・喜び・恐れ)の乱れが続くと各内臓に大きく影響を及ぼすのです。これは内因として、病気の原因になります。また、「酒を飲んで房事を行うな」というのも述べられています。酒を飲むと身体が温まり、活動的になります。東洋医学ではこの状態を「陽気が多い」といいます。酒の酔いが醒めると身体は寒くなります。これは酔いが醒めるときに、体内にある陽気を発散させてしまうからなのです。房事で肉体的に活動して陽気を使い、酔い醒めで陽気を消費すると二重に陽気を消耗することにより、後日身体がだるく冷えてきます。このようなことから翌日下痢になる方は、この陽気不足の症状なのです。
春・夏・秋・冬に和しての生活も頭では承知していますが、この四季に応ずる生活は東洋医学のなかでも大原則の哲学になります。地球上に存在する全ての物質が陰陽にて発生している「陰陽論」もこの自然科学から生まれているのです。天体と地上を天一、地二、万物三として説いているなかで、人間の身体の動きが、宇宙と同じ原理であることも既に3500年前の人々は知っていたのです。ここに東洋医学の偉大な真理があるのです。現代物理学の最先端において、素粒子などの発見が科学に貢献していますが、全て陰陽、プラス・マイナスの原則の線上にあるのです。春・夏・温・動・昼・明などは、「陽」に属し、秋・冬・寒・静・夜・暗などは、「陰」に属します。この陰と陽がうまくコントロールされているときに、調和がとれていて、元気で丈夫な生活が維持できるのです。
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