前に内蔵の働きを季節に当てはめていると、古代人の理論を展開してきました。そのように一日も四季節に置き換えることができるのです。春には芽が出るように、朝はやる気が充実しているときでもあります。しかし、夜遅くまで飲み歩いていたり、ストレスの溜まる難しい話をしたり、病人の看病や深夜作業などをしている多くの方は、朝の気分が優れず、頭がぼんやりして、首の後ろから肩にかけて違和感があるものです。これは、春に必要なエネルギーを冬に使いすぎた時に出る症状なのです。朝から一日使うエネルギーは、夜に造られます。ですので、夜は身体を温めて早く寝ることです。そして足が冷えないように、温かくし、温飲食を食べ、腎が冷えすぎないように塩味を薄くするなどして養生して下さい。
冷蔵庫と腎臓の働きが似ていますので、簡単に説明したいと思います。冷蔵庫は、上に製氷機があって冷やしていますが、その前にコンプレッサーという装置が電気が入ると音もなく静かに作動します。そして庫内の空気を暖めて、その暖めた空気を外に排出することにより庫内は冷えていくと、私は理解しています。腎臓も同じように、静かに黙って働いており、陰の気(生命力)を生産しています。体内があまり熱くならないように、引き締めている働きもあるのです。冷蔵庫は、冷却が目的ですからその陰の力は常識以上に強く作動していると思えば良いと私は考えています。
足の冷えを治すのには、上半身の熱の陽気を足の方に引き下ろすことです。それには、経絡と呼ばれる腎に関する気の道をうまく応用することです。足のかかとの内くるぶしに梅干しのような骨があります。そこから膝の屈伸する内側にかけて、骨が手に触れると思います。このくるぶしから骨に沿って膝までを下から上に向かって、2〜3分きつくない力でさすると腎の働き活発になります。陰の気が上昇し、上半身にある陽の気が背中から腰、足の裏側を通じて足の方へ降りてきますので、足腰の冷えは治まり、首の凝りが取れ、身体全体の調子が驚くほど回復し、腎の働きが丈夫になります。一度お試し下さい。絶対に、下から上にさすって下さい。こすったり揉んではいけないので、注意して下さい。これは、経絡現象を活発にさせるものなので、激しい刺激はいけないのです。
これから同じような話や言葉が出てくると思います。五臓の働きは、お互いに関連していますので、繰り返すことによって、理解ができるようになると思います。いままでの内容を思い出しながら続けて読んで下さい。東洋医学の思想を基本に、自然界と人体の働きの関係が理解できると思います。
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