夏から秋、秋から冬と季節の変わるときは多くのエネルギーが要るのです。その役目として、胃が元気に頑張ってくれると体調はよいのです。胃で造られたエネルギーは、各季節でもっとも活動する各内臓にそれぞれ走り、養います。春の土用は、4月下旬から5月上旬にかけてあり、この時に胃が弱るとエネルギー不足となって、春の作用でよく活動する肝の機能を十分発揮することができず、肝の症状として木の芽時の各症状が出るのです。しかし、この時期に肝の治療だけを行ってもなかなか効き目は現れません。まず、原因である胃を整え、そして肝を整えていくのです。この辺が東洋医学の素晴らしい治療技術であり、臨床応用できる陰陽五行論の重要なところなのです。ところが、現在行われている治療法は、肩とか腰の不調を訴える部位を治療する方法が多くなりつつあります。単なる筋肉系、運動器系には効果がありますが、内臓の本当の状況を知る治療は、まさに鬼に金棒の如く、治療効果が大きく期待できます。
例えば、冬の間に働きすぎたり、ストレスなどでエネルギーの消耗が激しいと春に必要なエネルギーが不足してきます。このような状態でも春は、まあまあの体調で春を送ることが出来るのですが、夏になろうとするときに、必要以上の陽気(エネルギー)が必要となってくるのです。この時期が4月下旬から5月上旬の春の土用です。この時に胃の働きが弱ってくると胃と肝(春)の機能に変化が生じて、不定愁訴やイライラ、肩こり、不眠、倦怠感などの症状が出てきます。このようなときは、病院で精密検査をしても反応が出てこないのですが、本人は不快感があり、グスグズいうものです。東洋医学では、このような状態を内因性の症状として捉えています。多くの人々が普段、胃腸症状、食欲不振、下痢、腹痛、胸焼け、胃もたれなどを訴えるのは、土用時期に胃に負担がかかるためで、その時期が4回あるわけですから、訴える人が多いのもうなずけると思います。
次は「金」です。「木」が育ち成長して、大木になり、山奥で自然発火をしたりして、「火」になり、やがて灰となって「土」に戻り、その土の地中から金属物質(金)が出てきます。人間生活にとって金属は重要な道具として密着しています。そのように「金」は人体でいう「肺」にあたる性質として説明しています。肺は、秋によく活動します。春の肝、夏の心、土用の胃、秋の肺となります。大気を自然から取り入れて、胃で造られた陽気(エネルギー)と合体して「原気」となり、寒い冬に備えます。秋になって陽気を発散しすぎると体表面の陽気が減少し、冷えやすくなり、そのために血行も悪くなり、肩背部の凝りが、肺に負担をかけるのです。この肩背部の凝りがしばらく続くと寒気がして、発熱します。そして発汗することによって解熱します。この症状を何回も繰り返していると風邪気味がいつまでも続きます。このようなときは、肺を助ける飲食物が大切であり、特に温かい飲食物が早く発汗させる効果があり、古くから唐辛子、ネギ、しょうが湯、梅干し湯などは、汗を出すのに必要な水分も多く取れるのでお勧めします。
夏でも汗をかかない人や冷えを訴える人々は、この皮膚の温度センサーが敏感に働いてくれていないか、汗をかくにも水分が不足しているため皮膚がザラザラ状で、治りにくい発疹があったりします。このような人々は、肺の機能を丈夫にするとよいのです。思い切って運動をして、たまには汗をかくことが一番良いようです。
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