陰陽の症状

陰陽の症状


 前に述べましたように、上部の陽気が下へ、下部の陰気が上昇するのは、腎の働きと水の作用であるのです。陽が強すぎるとのぼせが発症しますし、陰が強すぎると足腰が冷えて、婦人病や腰痛などの多くの原因にもなります。

 このような場合、患者様の訴える症状と現在患者様の内臓がどのように働いているかを「脈を診て」探るのです。これは古典にも書かれている診断法で、鍼灸師、漢方薬剤師が応用しています。しかし、鍼灸術も現代医学風になり、具合の悪い部位のみを治療する対処療法が多くなり、この治療法では身体の内臓の歪みの調整はうまくできず、運動器系の筋肉のこりや痛みには効果があるようになってきています。身体の状態を正しく知らずに、ただ悪い部位だけを治療してもその治療では、最高の効き目が期待できないのです。原因があり、その作用がなぜこのような症状を訴えてるのかという病理を知ってこそ、はじめて東洋医学を応用し、臨床に役立てることが出来るのです。

 この治療法に使われるのが、皆様もよくご存じの「ツボ」です。これは頭から手足、背から腹にあり、体表にある12本の「経絡」という神経や血管、リンパでもない東洋医学独特の健康維持してくれる網目状の上にあります。この経絡とツボを日本の鉄道と道路に例えてみると経絡は東海道線や名神高速道路になり、東京駅、名古屋駅、米原インター、小牧インターといったものがツボに当たります。主要な駅やインターには、それ以外にも他の線と交叉して連絡しているように、ツボも胃に作用する流れ、肝臓の働きをコントロールする流れなどあります。その流れのなかでも特に大きな働きを持つ駅のようなものが、大切な反応点となり、病症の時に反応があらわれます。このツボを上手に応用して治療していくのが、鍼治療の原則です。ただ同じ反応を示して、病症があってもその内臓がもっている陰と陽の気の多さによってツボを使い分けていかなければなりません。同じ肩こりや腰痛でもツボを使い分けることによって、治療効果に差が出てくるのです。

 本当の身体の病理病症が診断できて、どの経絡を使うか、またその中でどのツボを使うかを判断できるようになるには、この古い伝統医学を学習しないと応用できないのです。最近は、鍼灸師が医師と同様に話し合える技術学問をしております。これは西洋医学に準じた鍼の応用で、当然大事な治療法なのですが、古来から続く東洋医学を学んでこそこの治療法が生きてくることを認識していただきたいと思います。


鈴木治療院
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