◆コロナ禍がなかなか収まりません。3年目に入って、新しく登場したオミクロン株は、重症化率は低いものの、強い感染力で私たちの生活に浸透してきました。この夏、滋賀県でも1日感染者数が3000人を超える日がありました。猛暑の中エアコンをつけながら換気を徹底する生活が続きました。秋口になってようやく第7波の陰りが見えてきましたが、冬場には第8波の到来が予想されます。コロナ後遺症として「咳」「息苦しさ」「倦怠感」「集中力低下」などがあるようです。ロング・コビットと呼ばれ、自己免疫反応等が関係している可能性があります。精神疾患の悪化、遷延化などと考えられてしまうかもしれません。
◆北京冬季オリンピックの終了を待つかのように、2月24日ロシアがウクライナ侵攻を始めました。東部の非ナチ化のための特別軍事作戦だというのですが、ウクライナのあらゆる生活基盤への無差別な攻撃を行っているようです。このような露骨な侵略行為が21世紀になっても堂々と行われることに驚きを禁じえません。国連安保理の常任理事国による国連憲章無視という事態に、国連の機能不全が明らかになりました。ロシアは西欧によるNATO軍事同盟の東方拡大を非難してきましたが、この侵略によってこれまで中立を守ってきたフィンランド、スエーデンまでもNATO加盟申請するという逆効果を引き起こしています。
◆参議院選挙の最中の7月8日、街頭演説中の安倍元首相が銃撃され死亡しました。選挙期間中の事件のため、民主主義を蹂躙する暴挙と思われましたが、旧統一教会(世界平和統一家庭連合と改名)による法外な献金によって、家庭崩壊させられた被害者による復讐劇であったようです。この事件によってはからずも教団と政界との深いつながりが明るみに出ることになりした。国会議員だけでなく首長や地方議員にも、選挙などを通して深い関係が広がっているようです。政府自民党は、旧統一教会とは今後関わらないと表明していますが、この事態に対する納得のいく説明はなされておらず、漠然とした不安感が漂っています。
◆「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築に向けた検討が進められています。今日では、いじめ・不登校、母子保健・子育て、高齢・介護、生活困窮者支援等の様々な領域において、メンタルヘルスの問題が表面化してきています。それらは、必ずしも精神障害とは言えないかも知れませんが、諸制度の谷間で苦しむことの無いようにする必要があります。精神障害の有無や程度にかかわらず、身近な地域で切れ目なくサービスを利用しながら、安心して暮らせるような社会システムを構築することが目指されています。
◆とりわけ、子どもをとりまく状況は深刻で、少子化、人口減少に歯止めがかかりません。子ども白書によれば、令和2年度には、児童虐待の相談対応件数や不登校、いわゆるネットいじめの件数が過去最多となったそうです。また子どもの自殺も増加傾向にあります。子どもの利益を第一に考え、子どもに関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えるべく、来年4月から「こども家庭庁」が創設されます。子どもと家庭は利益相反する場合もあることから、名称に家庭が入ったのは旧統一教会の影響があったという疑念を払拭し「こどもまんなか社会」に向けて進んでいければと思います。
(滋賀県精神科診療所協会 上ノ山)