編集後記
◆ロンドンオリンピックでは夜遅くまでの観戦が続いて眠い日が続いたのではないでしょうか。日本の金メダルは7個と淋しかったのですが、メダル数は37個で過去最高だそうです。とりわけなでしこジャパンをはじめとした団体競技で優秀な成績をあげていたのが印象的でした。チームワークが良かったということで、日本的と言えるのかも知れません。
翻って日ごろの臨床に目を転じてみますと、依然として医師の働きに依存した診療報酬体系が続いているため、日本的なチームワークの力が発揮しにくいのが現状です。
◆大津のいじめ自殺事件が連日報道され、私たちの県都が一躍全国区のスポットライトを浴びています。一人の生徒の死に対して、学校や教育委員会の対応が、事態の隠蔽の方向に向いているとの印象を与えてしまっており、不信感を拭いきれないでいます。既に刑事事件として取り上げられていますので、軽々に言うことはできませんが、この場合はチームワークが組織防衛という方向に作用したのではないかと考えられます。また第三者機関を構成する場合など、身内での対応をこえて関係機関を交えてチームワークを創り出していくためには、守秘義務の取り扱いには厳重な配慮が必要です。チームワークは一朝一夕に成り立つものではないので、普段からのトレーニングが必要でしょう。
◆H19年6月に策定された自殺総合対策大綱が全体的に見直され、8/28に閣議決定されました。「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して」という副題が付けられています。H10年以降年間自殺者数が3万人を超えている状況は続いていますが、自殺死亡率をH17年度に比べてH26年までに20%減らす目標を立てています。これまでの取り組みの結果、中高年層、高齢者層向けの対策が一定の成果を上げている一方、若年層では自殺死亡率が高まり、また、学生・生徒の自殺者数が増加傾向にあるなど、新たな課題も表れ始めているようです。そのような中で、児童生徒の自殺発生の実態把握、いじめ問題への対処などが書き加えられています。
◆8/3には障害者雇用に関する検討会報告書がまとめられました。ハローワークにおける精神障害者の新規求職申込件数は平成18年度18,918件から平成23年度48,777件と2.6倍増加。障害者全体の新規求職申込件数に占める割合は、18.3%から32.9%と増加。
また、就職件数については、平成18年度6,739件から平成23年度18,845件と2.8倍増加。障害者全体の就職件数に占める割合は、15.3%から31.7%と増加、という結果が出ています。H18年度に精神障害者も障害者雇用率に算定された結果、精神障害者の雇用は着実に増えています。今回の報告書では精神障害者雇用の義務化は必要としながら、具体的な期日については明確になっていません。
今後さらにいっそう精神障害者の雇用環境の改善や定着支援を進めていく必要があると思います。
(滋賀県精神神経科診療所協会 上ノ山)