◆「災」の年となった平成16年の様々な経験を教訓に、阪神・淡路大震災から10年を迎えた今年を「滋賀の減災元年」として、滋賀県として「減災対策推進チーム」を立ち上げ、災害に備える取り組みをしていくそうです。
本年度のこころの健康づくりを考える県民のつどいでは「災害とこころのケア」をテーマに講演とシンポジウムを行いました。岩尾先生には、阪神大震災から新潟中越地震にいたるこの10年間の、災害のおける「心のケア」の総括をしていただきました。阪神大震災の特徴はJR線に沿った断層が動いたために、阪神間のJR沿線で開業していた精神科診療所に大打撃を与えました。
震災初期には各保健所で精神科救護所ができ、精神科医療システムの混乱の中で治療中断を防ぐ役割を果たしました。岩尾先生は、クリニックを焼失した先生らとともに、いち早く長田保健所で精神科救護所をたちあげ、その後各保健所での動きにつながっていったそうです。精神科医療システムの再建と被災者へのケアを並行して進める視点、方法論の必要性を強調されました。
◆障害者自立支援法が2月10日に国会上程されました。6月法案成立、10月施行の予定だそうです。そのような中で3月19日、滋賀県精神神経科診療所協会、日精協滋賀県支部、滋賀県精神神経科医会の三者合同の講演会があり、村木厚子障害保健福祉部・企画課長が「障害者自立支援法案による改革」と題する講演をされました。
村木企画課長はソフトな物腰で、当事者、家族の質問にも丁寧に応答し、わかりやすい説明でした。しかし通院医療費の公費負担制度の廃止・福祉予算化は譲らず、「重度かつ継続」という病名制限の問題や、自立を支援するとしながら「生計を一つにする」という所得制限の定義の問題など、いまだ不明確な部分は残りました。
障害福祉サービスの一元化など、障害福祉サイドからの問題提起としては、それなりにすっきりしています。しかし外来精神医療の視点は乏しいですし、就労支援など、福祉と雇用の連携について図式化していますが、相変わらず医療の役割が抜け落ちています。福祉と医療とのリンクについては、もっと積極的にプランを出していかなくてはならないと感じました。(滋賀県精神神経科診療所協会 上ノ山)