◆9/2「精神保健福祉の改革ビジョン」、10/12「今後の障害保険福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」11/12「障害福祉サービス法(仮称)のイメージ」などが、精神保健福祉法改正を前に、矢継ぎ早に厚労省から提出されています。コミュニティケアの充実を期待したいのですが、外来医療への言及と言えば通院公費制度の見直しのみとなっています。これまで、通院継続を保障し、症状の再燃や入院や自殺に至る事態を防ぐために重要な役割を果たしてきた通院公費制度が危機に瀕しています。これらの「改革」の動きから目が離せません。改革の理念は看板だおれで財政主導の改革の印象です。
◆超党派の議員立法「発達障害者支援法」が、12/3成立し来年4/1から施行されます。文部科学省の調査によると、知的遅れはないが学習・行動面で困難を抱えたLDやADHDなどの疑いのある子供は小中学生の約6%いると推定されています。知的な遅れがなければ障害とは認められず、これまでは福祉サービスの網からこぼれ落ちていました。不登校や引きこもり、児童虐待といった問題に、発達障害の子供がかなりの割合でかかわっていると考えられます。児童精神科医の養成をはじめ、診断と継続支援の体制づくりが早急に進んでいくことを期待したいと思います。
◆これで保健・医療、福祉、教育、雇用などの分野にまたがる発達障害者支援法が障害福祉に関わる法体系に加わったことになります。次の通常国会で身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法の中の共通部分を規定して、障害者福祉サービス法(仮称)を成立させ、将来的には、障害者基本法のもとに、発達障害者支援法を含めて総合的な障害者福祉の法律をつくることが想定されています。期待と不安が入り交じります。保健・医療、福祉、教育、雇用の連携が肝要で、財政主導の数字あわせでは中身の充実はおぼつかないのではないでしょうか。
(滋賀県精神神経科診療所協会 上ノ山)