探索14日目
改めて、近くで見ると……
紅翼の獣、すっごく大きい。
男の子の両手と、紅翼の獣は、やっぱり鎖で繋がっていた。
冷たく、重い、金属の鎖。
なんでこの子たちは、そんなもので互いを繋ぐのか、わからない。
わたしたちの「鎖」は、目には見えないけれど。
でも、軽くて、暖かくて、そして、丈夫。
この子たちが、本当に互いをあんな冷たい鎖で繋がなきゃならないなら―――
わたしたちは、負けない。
今、髭のおじさん―――エニシダさんは、わたしの前ではなくて、横にいる。
そばには、大切な「お友達」……こおろぎのエニシダくんと、とかげの子。
冒険をはじめたばかりのころ、わたしが前に出た時は……
おじさんもいなくて、わたしひとりで前に出て、アルクリーフさんを守らなきゃいけなかった。
あの時の傷の痛み、まだ覚えてる。あの時は、本当に死んじゃうかと思った。前になんて出たくなかった。
でも今回は、今のわたしは、あの時とは違う。
みんなと一緒に戦って、生き延びて先に進むために。
そして、この男の子から何らかの話を聞くために。
わたしは……自分の意思で、前に出る。
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