探索23日目

探索二十三日目。

ここのところ微震が続いていたこの遺跡、以前から注意を呼びかける冒険局からの声はあったが、とうとう退去勧告が出されるに至った。

ここ最近、連日で遺跡が崩れる悪夢を見ており、気分が悪いことこの上なかったのだが、どうやらそれは現実と化してしまったようだ。
―――微弱ながらも「仙導」を駆使するレギオン分家筋一派の血が見せた予知夢なのだろうか。

隊には冗談じゃないと驚く者、やれやれと諦めの顔をする者、ひとまず今の探索をきりのいいところまでとギリギリまで行動する者と、さまざまだった。

私。
私は。

まだだ、まだ目的を達成できていない。
宝玉そのものは目的ではない。宝玉に至る経緯が目的。

そう、ここへ来て、この土壇場でようやく私は目的を見つけた。
この内側に燃える、不可思議な感覚の正体を掴むこと。
自分との戦い、などという陳腐な言い回しになってしまうが、斯様な形而上の存在ではない、内なる感覚の正体。

それを不可思議な存在とは思わない。
何かの術や血脈や異形のものが関わっている訳ではないというのは、わかる。

ここまで来て、この感覚の正体を掴まないわけにはいかなかった。
掴まないといけない、自身に対しての使命感もあった。

これに多少なりとも関わる彼の人物は、幸いなことに再びこの島に戻る予定らしい。
安堵の気持ちでいっぱいになったが、何故安堵だったのだろう。
見知った仲間と別れるのが辛かった?
いつからそんなに感傷的になった?
そんなに私は甘い認識を持って刃を振るうに至っていたのか?


わからない。
わからないからこそ、突き止める。

わかったことで後悔するときが来ても、突き止めようとしていたことを後悔したくはない。

心の上に刃を置く。

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