鮒鮨(ふなずし)の作り方

ここでの鮒ずしの作り方は、当店製造の米糀(こめこうじ)を使った方法です。

1.まず、鮒ずし用の鮒を用意します。もちろん、琵琶湖特産のニゴロブナ(最近は輸入

ものもあるようです。) を用意します。
鮒は、琵琶湖周辺の川魚屋さんで購入します。(1kg数千円ぐらいです。)
依頼すれば、必要量塩漬けしてしてくれる店もあり、そういった店では、最後の漬け込
みまで一環して請け負ってくれる場合もあります。地元では、そういうケースが多く、
最後の漬け込みに使用するご飯や樽の用意を自宅で行い、専門の人に出張して
漬けてもらっております。(実は、当店の家族が食べる鮒鮨もそうして漬けてもらって
おります。)

2. 鮒は、子持ちのものを4月頃に塩漬けにします。できれば3月頃が子も多いとされて

います。腹を割かずにうろこ、えら、はらわたを取り除いた鮒を十分な量の塩で塩漬け
にします。塩漬けは、鮒のはらの中までしっかり塩を入れ込むようです。約3ヶ月程度
の漬け込みが必要とされていますが、一旦塩漬けした鮒は、一年後でも問題なく使用
でき、自分で鮒を採っている人では、5月頃採った鮒では、漬け込みに間に合わない
ので塩漬けして翌年使用するようです。また、魚屋さんも余った(近年は余る事はない
そうです。)鮒は、塩漬けして翌年使用されるようです。

3.漬け込み

時期は、土用の前後が多いようです。(気温の最も高い時期が、鮒鮨の発酵に適する
のでしょう。)
必要な物品(一家族、3人程度が食べて、鮒10kg程度)
ご飯は、米5升につき、茶飲み茶碗1杯の塩を入れて、普通の硬さに炊けばよい。
この場合、米酢を1合5酌程度いれると骨も柔らかく、味もいいという。)
に入れて、漬け込み作業の手水とし手についた雑菌を除去する。)
守山市金森町の川辺という造り酒屋で、かすとり焼酎を販売しておられます。
ある方がよい。(ポリ製のふたは重しをした時にすべり、ふたが傾きやすいので
ダメ。)
ビニール一枚。

4.漬け込みの実際

塩漬けした鮒は、水で十分洗う。新しいたわしでごしごし丁寧に、えらの中の
塩も洗い流す。洗った鮒は、ざるの上に並べて水気を切る。扇風機で風を当てて
もよい。
この時、絶対にハエが近付かないようにすること。卵を産み付けられ、ウジムシが
発生してしまうからである。
ご飯は、5升分につき糀1枚、かすとり焼酎を2合入れ、十分混ぜる。この時
かすとり焼酎での手水を忘れないこと。
桶に3センチメートル程度の厚さにご飯を敷く、その上に鮒を並べていく。鮒には
口から十分ご飯を詰めておくこと。また、鮒の並べ方は、均等な高さになるように、頭
を桶の縁側に向けて、一匹一匹が重ならないように並べる。全面に並んだら、ご飯を
鮒が隠れる程度敷き込み、以下前述の手順を繰り返す。
鮒を漬け込み終えたら、ビニールを被せて、ご飯の面との間にすきまの出来ない
ように押さえてなじませる。ビニールと桶の縁と接するところにわら縄をビニールを
押さえつけるようにめぐらして置く。その上に、ふたをする。(専門の方は縄を三つ
編みして置くようだ。)
ふたの上には、漬物石を1個置く。彼岸(9月末)が過ぎたら、1個追加して
2個にする。仕込み終えた桶全体をおおうようにして、黒色のゴミ袋を被せ、桶の
外側の胴の部分をひもでしっかりくくる。

5.日常の管理

ビニールはひんぱんに点検して、穴が開いていたら新しいものと取り替えること。
漬け込んだら、2・3日で漬け汁が湧いてくる。漬け汁は、数センチメートル程度
以上が必要とされる。(以前は、ひんぱんに上部の水を換えたようであるが、やはり
仕込んだ桶の中から湧いてくる漬け汁に浸っている方がいい味が出るようである。)
漬け汁が桶からあふれるようであれば、捨てること。あふれ出た漬け汁が桶を
おおっている黒色のゴミ袋の縁に溜り、そこからハエのウジムシが発生する。
しばしば、ふたが傾くので、調整して常に水平になっていることが大切である。

6.試食・食べはじめ

この例のように、土用前後に仕込んだものは、翌年2月から3月頃になれば、食べ
はじめてもよい。遅ければ遅いほど、よく熟成して、味はよいものである。
桶から鮒鮨を出す場合は、漬け汁を捨てずに、桶を傾けて別の容器に受けておき
鮒鮨を出し終えたら、最後に元どおりに桶の中に戻しておくのが良い。
鮒鮨は、一度にある程度の量を出し、冷凍庫に一匹づつラップして、保存して
おけば問題ない。また、鮒鮨は冷凍してあると、包丁で切りやすい。薄くきれいに
切れる。

7.漬け直しについて

長い間放置し、ふたが傾いたままとなっていたりして、桶の状態が変になってい
たら、再度漬け直すこと(ご飯から鮒をすっかり取り出し、新しいご飯で漬け直す)で
元どおりにもどせる。
味にこだわり、翌年の夏にもう一度漬け直しをする人がある。手間はかかるが結果
は良いとのことである。

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