登攀隊12名(シェルパ3名)はカトマンズから陸路グレートヒマラヤを越
えてチベットに入った。
グレートヒマラヤとヤルツァンポー川に挟まれた、ラゴイカンリ山群の西端
にツァンラ山系に位置する。鋭くとがった屋根型のツァンラT峰、その北稜から
続くツァンラU峰は雪に覆われた柔和な山様である。このツァン地方ではT峰は
男神、U峰は女神にたとえられる。東稜からT峰をめざしたが、40mを越す垂
壁3段にはばまれ、ついに断念。U峰をめざすことにした。
通信の丘を超えてC1へ
ベースキャンプの北側に広がる、広い扇状地性の台地の端が通信の丘だ。ここ
からツァンラ南東カール底のC1までは4時間コースだ。昨夜の薄雪に覆われた
ツァンラT峰が朝日に輝いてまぶしい。いよいよU峰アタックのためにC1に向
かう。
|
タルチョ山の稜線から見たツァンラU峰
ツァンラT峰の東稜はタルチョ山から二つの稜線に分かれる。C1からU峰へ
はこの2本の稜線を越えて行かねばならない。タルチョ山北東稜から見たツァン
ラU峰。その姿は我が故郷の山”伊吹山”に似て、T峰に比べれば柔和な山様を
見せるが、山頂付近は氷河と雪に覆われている。
|
ツァンラ南東カール壁を登る
C1からC2へ行くのにはタルチョ山の北東・南東稜を越えて行かねばならな
い。まずは足場の悪い、カール壁を呼吸を整えて、一歩〃〃登る。アタック隊7
人分の共同装備はC1支援隊で北東稜まで荷揚げする。
|
C2予定地ツァンラ北東カール底に降りる
C2はツァンラ北東カール底に建設する。ここからはアタック隊7人による、
アルペンスタイルで挑む。2泊分の装備を持って、200mの絶壁をアプザイレ
ンで斜めに下降する。大きな落石がザイルを切ってしまったが、幸い隊員は下降
中ではなかった。
|
ツァンラU峰北氷河を登る
C2からU峰へは北稜をたどることにする。北側にはくちばしのように延びた
氷河があり、ランドサット画像でも確認できていた。Fixロープを張りながら
、慎重に登る。
|
ツァンラU峰山頂直下
北氷河の端を詰め、ようやく北稜の上部の急登にかかる、数歩歩いては、深呼
吸。息を整え、また歩く、山頂が少しずつ近くなる。
|
ツァンラU峰初登頂登攀隊4名(澤山・藤永・青木・小林)とシェルパ3名が 1996年8月6日13:15、ついに未踏のツァンラU峰の登頂に成功した 。あいにくガスの中、小雪混じりで視界は不良。 |
C1での初登頂祝
8月6日アタック隊の登頂支援のため、タルチョ山北東稜まで、無線通信に出
ていた山村・井上・五十子がC1に帰ると、北村・片岡・佐野が登頂記念の雪だ
るまを作って待っていた。C1支援隊全員で初登頂を祝って記念撮影。
|
C1から見たグレートヒマラヤとチョモランマ
C1から、天気が良い日の夜明け前や、夕方、南東の方向にチョモランマやロ
ーツェ、チョユウなどの8000m級の山々を望むことができた。特にチョモラ
ンマの北稜が見事な姿を見せてくれた。
|