探索17日目曲がり角の先に、下に降りる階段を見つけたあたりから。 とかげの子の様子が、少しおかしかった。 砂地でらくだと戦っている間も、ずっと、きょろきょろと周りを見回していた。 ……その理由は、すぐにわかった。 砂地の端っこ、大きな大きな壁の、影。 そこに見えたのは、これまでわたしたちが見てきた子より、一回りも二回りも大きなとかげ。 とかげの子は、その大きなとかげに向かって走っていこうとする。 「……ごめん。すぐ戻る」 エニシダさんとアルクリーフさんに一言だけ言って、わたしもその後を追いかけた。 近づいてみると、大とかげの周りには、十数匹のとかげ。 中には、わたしの肩に乗っけても大丈夫そうなほど小さい子もいる。 わたしには、すぐにわかった。 この大とかげが、小さなとかげたちの、そしてわたしのところのとかげの子の―――お母さんなんだ、と。 きみは、強い子。お母さんよりも大きい紅翼の獣にも、恐れずに立ち向かっていった。 きみだったらきっと、他の怪物や悪い人間と、ケンカになってもだいじょうぶ。 だから、これからは―――その強さで、小さなきょうだいたちを、守ってあげて。 けっきょく、わたしがすぐ忘れるせいで、最後までちゃんとした名前をつけてあげられなかった。 きみの存在を忘れないために、きみには、とっても大切な人の名前をあげる。 また、ここを通ることがあったら、きっと会いに来るから。 またね――― フォウトちゃん。