幸いにもかなり消耗した後に出てきたモンスターは、毒蠍に比べたら大したものではなかった。
	もっとも先ほど覚えたマジックミサイルを早めに使ったお陰かもしれないが。
	接近される前に先手を打って攻撃できるのは、やはり心強いものと思った。
	願わくばこれを毎回毎回できるとよかったのだが、残念なことにマジックミサイルのストックが切れてしまった。
	新しく覚えたスキルはそう何度も使えないということであろうか。
	この事を一単語だけでまとめると「一夜漬け」という言葉を連想してしまう。何故だろうか。

	先に書いた出現モンスターは、野犬と歩行雑草という生物であった。
	前者は文字通りなのでここでは割愛する。読んで字のごとし。見た目通りだ。強さもそれなりに。
	問題は後者。歩行雑草という生物は、別行動の仲間のアルクさんの種族と似ていると思った。
	私の知るアルクさんは非常に友好的なので、私はつい彼女と接するかのように
	目の前の襲いかかってきそうな歩行雑草にも警戒を解こうとしてしまいそうになったのは内緒だ。
	モンスターと出てきた歩行雑草は、良く観察をすれば顔が明らかに違う上に
	声も違うので歩行雑草は敵対するモンスターとはわかるのだが…。
	まぁ、これ以上は深く考えても仕方ない。人間にでも害をなす相手を見分けるのにも苦労する。
	きっと、歩行雑草という種族でも同じ理屈があてはまるのであろう。


	さて、今日から人物紹介をしてみよう。1回目は一緒に同行しているエゼさん。
	種族はハーフエルフ。この世界はどうかはわからないが、多分苦労はしてきているのであろう…とは思う。
	得意武器は弓。彼の射撃の腕前はたまに外したりすることもあるが。
	今の私達には接敵する前に狙って攻撃できるのは彼だけなので非常に助かっている。
	そんな彼は最初から同行者のフォウトさんからいきなりエロスとか叫ばれてしまったりとか、
	私とは対照的に何かと波乱に満ちた面白い生活を送っているようだ。
	仲間の人が女性の方が多い中の数少ない同じ男性のひとり。という面では心強いのだが…。

	まぁ、いきなり起きたエロス事件はあまり深入りはしないでおこう。

	（＊ナミサの日記〜４日目抜粋） 


			
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