─ああ、説教は長かった。 そう考えると遺跡の中であれば通信はないし、ある意味楽なのかもしれない。 もちろんこれはモンスターが出てこなかったらの話だが。現実どっちが心理的に楽なのかどうかわからん。 そもそも書くような外部報告書ってないよなー。実際に行った場所って… …ん? あ。そうか。 良く考えたら本当にあの時の私は頭が悪かったな。 まぁ、でも前回の反省を踏まえて今回は少し考えてみた。こういうのはどうだろうか? 報告する内容がなかったらつくればいいんじゃないのか? どうせ大した役に立ちそうなレポートではないよな。きっと。 そもそも姉はどこに報告してどう利用するつもりなのか。別に脅威が迫っているわけでもないしな。 レポートの内容は…後で考えよう。 とりあえず今は日常のまったり日記…じゃなかった報告書メモ作成の方が先だしな。 書いてあるのと書いてないのではかなり差が出るはずだしな。たぶん。 あ、そうそう…魔法については前回休んでいた分も書いておこうか。 *** ここからレポート転載用ですよ? メモメモ。 *** 遺跡外に帰還する直前に覚えた魔法を一通り試してみた。 覚えた魔法はヴァイオレットスフィア、呪印、ブラックスター、ブロードカースの4つ。 ヴァイオレットスフィアは名前の通り火っぽい感じがする。書くまでもないか。 この魔法は全員にかけられる魔法でしかも炎上という相手の体力を徐々に奪っていく効果を持つ。 これだけを見れば非常に強い魔法なのだが…。 と、いうかだ。まともにこの魔法が当たらないのは気のせいであろうか。 全部外したような悪夢を見たような感じもあったのだが、多分気のせいだろう。 もう少し当たりやすくなれば使えそうな魔法なのだが…。この魔法はどう使えばいいのだろうな? さて、遺跡外での疲労回復と食糧調達を終えた私達は再び遺跡に戻ってきた。 遺跡外にいても瞬時に魔法陣の場所に戻れるこの便利さは一度実感してしまうと癖になりそうだ。 今回私達が選んだ魔法陣は「枯れた麓」という名前の魔法陣。 ─そう、ここは初めて私達が自力で到達した魔法陣。 結果的に最初に見つけた場所が下層や未知の場所に進むのに最適な出発地点となっていた。 前回はここから山越えした先の砂地の地が長くて途中で探索断念せざるを得なかった苦い思い出がある。 今回は食糧は十分あるはずだし多分大丈夫だと思いたい。たぶん。 その割には残りの食糧が気になる。何でこんなに買えなかったのだろうか。 まぁ、現地調達できればいいのだがどうだろうか……。 深くは気にしないで次の話にいってみよう。 今回砂地で戦ったモンスターは巨大蟻と……なんだこれ? 牙…えーと? トカゲ…でいいのか? この漢字は非常に読みにくい。 「蜥蜴」と書くらしいが、実際この漢字を読める人ってそんなにいないだろ? 私が読めないのは悪くないっ! 漢字があまりに難しすぎるだけだよな?? ……あー。話を戻そう。この牙蜥蜴というモンスターは非常にやっかいらしい。 攻撃を受けると魔法を使う力の元(SP)を奪っていくとかそんな話を聞いた。 もちろんそんな情報を聞いていたからあって、最初の集中攻撃で見事に早いうちに倒すことができた。 だから強さそのものはわからないのだが…結構打たれ強い相手なのだろう。 私もエゼさんもフォウトさんも一斉に蜥蜴に攻撃をしかけていったのだが、 それでも2回程は蜥蜴に攻撃の猶予を与えてしまっていた。もし2匹出てきた時が怖い相手だ。気をつけよう。 ところで実際SPを奪われるのって、どうなのだろう? ああ。試してみようとは思わない。奪い取る方だったら喜んでやってみたいが。 魔術師にとってはSPは生命線。強い魔法を使う為にいくらあっても足りないくらいだしな。 もう1匹は巨大蟻というモンスターだったのだが、これは次の機会に書くことにしよう。 別に一度に全部書く必要もあるまい。内容は濃い方がレポートとして悪くないだろうしな。 最後に不定期連載の恒例の同行するメンバー紹介を。 今日はアルクさんという女性の方。年齢は私より若い感じがする。種族は歩行雑草。 歩行雑草は通常モンスターとしてよく見かけるのだが。アルクさんは違って私達に対して非常に友好的だ。 遺跡で確認できる歩行雑草の数からすればきっとアルクさんが例外なのだと思う。 そして、普通の歩行雑草と違って声も「もっさあー」とか、とても可愛らしい声であるのがいい。 そんなアルクさんの得意なことは私と同じ魔法。但し、得意なジャンルが違う。 もちろん詳しく戦っている様子とかは見る機会が今のところないので大まかにしか書けないが、 HPを回復させるような魔法も使えるのが、私と大きく違うところだ。 たぶん前線に立つ者にとってはきっと心強いに違いない。 (*ナミサの日記〜10日目抜粋)

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