6日目の日記今日はイーグル隊との練習試合を行った。 目的はそれぞれだが、たまにはこういったトレーニングも必要だろう。 お互いの欠点、改良点等も見えてくる。 ……アルクに葉っぱを口に突っ込まれるとは思わなかったが。 普通に食えたのがまた、複雑な気分だ。 ……やはり非常食呼ばわりされても仕方ないのかも、しれない。 魔法陣で俺達を待ち受けていたのは歩行石壁の後ろから顔を出してこちらを伺う 3匹のインプだった。奴らの庭、らしいが……。 まずはサフィの歩行雑草(ろくでもない仮名がついていて不憫なので名前で呼ぶ気になれない) を前面にデコイとして押し立てて石壁を打ち倒す。 ……ゴーレムの一種、なのだろうかアレは。もしくは地精か。 壁にしてはまた個性的な人格を有している辺りが興味深い。 頼りの壁を失ったインプ達をそれぞれ仕留めるのは雑作もなかった 翼をもがれ、穿たれ、呆気ないほど地に墜ちる小悪魔達。 そして俺はいつものように倒した獲物を腑分けする。 インプの皮膚を裂き、臓物を掻き出し、肉を丁寧に切り出す。 インプの肉には滋養が在る。合成の素材としても使える逸品だ。 だが……そうして小悪魔の血肉を啜る俺達は、人間は……邪悪な存在、などと 言われても仕方ないのかもしれない。ふと、そんな事を思ったのは気の迷いか。 今更だ。今更な……話だ。 俺が選んで進んでいるのは、そういう道の筈だ。 蟹の脚部の殻を加工していくつかの素材と組み合わせて吹き筒として構築してみた。 宿主を失った殻を拾い上げ、人が手を加え、再び“目的”を与える。 土に還るのはもう少しだけ待ってもらうとしよう。 見た目は多少、アレだが使い勝手は良い感じだ。 仕上げとしてアルクに韮の力を付加してもらったが……確かに、料理っぽい、な。 まあ、このサイズだと大味で不味そうだとは思うのだが。 エゼにも蟹の殻を基礎に頼まれていたので弓を作っておいた。 ……これも一応、コンポジットボウに含まれるのだろうな。 エゼ=クロフィールド。 弓使い。快活なハーフエルフの少年というか青年……か。微妙な時期だ。 衝動に抵抗しつつ抵抗しきれていない――そんな印象が時折見受けられる。 抗い続けるか、受け入れて楽になるか。 彼の選ぶ道は、どちらだろうか。 ……どちらにせよ、苦労しそうな顔をしている。