2日目の日記

“始まりの右足”を通り、南西を目指す。 待ち合わせの場所には多少の誤差はあれど全員が揃っていた。 ひとまず9人共、足並みを乱すようなことは無かったようだ。 俺が配備されたチームは…… アルクリーフは歩行雑草と呼称される植物種の雌株。 比較的、人間種に近い、整った容姿を備えている。 どうやら、魔術を操るらしい。 だが、なんと言うか……色々とやりづらい。植物と会話というのも中々複雑な気分だ。 人間種以外の種族など、この島ではとりたてて珍しくもなんともないのだが。 薬効や毒性の有無はそのうち調べるとしよう。 意思のある植物からサンプルを採取するというのもなかなか手間がかかる。 もう一人はサファイアという名のモノクルをかけた少女。 ……なんと言うか、しあわせそうな少女だ。色々な意味で。 ヒトの悪意とかそういった汚れたものには無縁なのだと思われる あきれるぐらい無垢な少女だ。 あの、きらきらとした瞳で見上げられると何故か負い目を感じてしまう。 小鳥や小動物などに好かれる性質のようだ。 どうやらパンくずは小鳥のエサと消えたらしい。やれやれ。 弓の心得はあるようなのでまあ、がんばってくれ。 ……少々物忘れが激しいのが気がかりだが。 アルクがたまにぼんやりしてふらふらとしているのも気がかりだ。 上記の二人に俺を加えた3人が二番隊のメンバーだ。 ……保護者か、俺は。 文句を言う気は無いが、世話係を体よく押し付けられた感が強い。 面倒な話だが、まあ適当に折り合いをつけていくとしよう。 今日の探索の場は砂地。 この辺りは毒蟲の類がやたらと多い。後でいくつか採取しておきたいところだ。

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