探索手記-12日目-ライトニングブラストを実戦投入…しようとしたら、練習試合の相手が凄い勢いで逃げていった。そんなに怖がらなくても…。 お陰で、ライトニングとレイを同時に試す事になる。試すのは十四日目だ。 十三日目…明日は、短剣を用いての戦闘。その為に、エニシダさんに短剣を打って貰った。 打って貰った短剣──「魔銀の短剣」は、カルマートでは比較的ポピュラーな短剣だ。 魔力を帯びた銀である「魔銀鉱」を精製し、刀身とする。普通の銀と比べて剛性と耐久性が高く、切れ味も良くなりやすい。 さらに、銀由来なので私のような金属アレルギーを持っている人間にも使いこなせるという品だ。 蟹の殻から魔銀が精製できるとは思っておらず、これはラッキーな計算外だった。これがなければ私はアレルギーに泣きながら短剣の訓練をする事になっただろう。 短剣での戦闘を行う事になったというのには理由がある。 冒険者に配布される日報──現在の探索状況、その日の戦闘経過、全参加者の修得スキルなどが載っている──によると、魔石作成と短剣術を扱えるのは私を含め4名。そのうち、「マジックドレイン」と呼ばれる技を使えるのは私だけなのだ。 よって、他冒険者へのデータ提供も兼ねて使ってみようという事になった。 勿論、このほかにも物理攻撃+魔法攻撃の複合技能である「魔導流術」を修得する為というのもある。 この技能は、物理・魔法の両攻撃を効率的に行う為のものだそうだ。私のような魔術一辺倒の者にとっても、この技術を応用することでより効果的な魔法の行使ができるだろう。パーティの総合力を強化するという意味でも、この修練は無駄にはならない。…と、思いたい。 ともあれ、私達の傍には巨大なハムスターが居る。 今は襲ってくる気配は無いけれど、油断は出来ない。なにしろ、この遺跡では「思いも寄らぬもの」が襲い掛かってくるのだ。 ハムスターのあの強靭な前歯で齧られたりしたら、腕の一本は簡単に持っていかれてしまうだろう。 再生ができる私はいいとしても、他のメンバーはそうなったら大きなハンディだ。細心の注意を払わなければいけない。 …そんなもの相手に短剣での戦闘を挑もうとしているのだから、私も無鉄砲だなあ。 *浴場跡で出逢った人メモ・その2* 三日月海羽さん(E-no.998) 青い髪と瞳を持つ女の子。瞳は時々赤くなる。 しっかりしているようで、時々うっかりさん。 実験するつもりで本当に合成しちゃったり、色々大変そう。 …流石に全裸で歩かせるわけにはいかないのでローブをあげた。 こういう時、替えのローブがたくさんあると便利。